2017年8月15日火曜日

この映画宣伝がすごい!2016(番外編)

こんにちは。ビニールタッキーです。

『この映画宣伝がすごい!2016』はいかがだったでしょうか。

この映画宣伝がすごい!2016(前編)
この映画宣伝がすごい!2016(中編)
この映画宣伝がすごい!2016(後編)

上記の記事で海外映画が日本公開される際の「おもしろ映画宣伝」をご紹介しましたが、日々記事を収集する中でこれは本来の意味ですごい!というか、この映画宣伝は少しでも多くの人に知ってほしいぞ!という案件がいくつかありました。

昨年も「この映画宣伝がすごい!2015(番外編)」という形でご紹介しましたが今年もまとめてみました。ぜひご覧ください。




益若つばさ、マスコミに不信感「だいたい嘘つく」

 モデルでタレントの益若つばさが14日、都内で行われた映画『ルーム』公開記念トークイベントに出席し、マスコミのあり方が話題に上ると、「だいたい嘘つく」など不信感をあらわにした。また、トーク終了間際にロックバンド SEKAI NO OWARI のボーカルFukaseとの交際について、「子供のお父さんは今年できますか?」「交際順調ですか?」と報道陣から矢継ぎ早に質問を投げられると、無言で会場を後にしていた。この日は、放送作家の鈴木おさむも登壇した。 
 7年間“部屋”に監禁され続けた母子の命がけの脱出劇とその後の生活を描く本作の内容に絡め、益若は鈴木とともに、子育てや出産後の心境の変化について明かした。劇中ではマスコミの身勝手さも描かれていることから、鈴木は「こうしてマスコミの人を前に言うのもなんですけど」と切り出し、「マスコミの残酷さというんですか? 今ちょうどいろいろなニュースが毎日毎日取り上げられているけど、ワイドショーでそれを取り上げるのって、本当にその人のことを心配している人もいるかもしれないけど、でもやっぱり残酷に視聴率のこと(を意識している)、視聴率によって、そのニュースの面積が変わったりするんです」とマスコミ論を展開。 
 益若も「(本作の)あのシーン……思い出しましたよ」と鈴木に賛同し、鈴木が「取り上げるほうは、(出演のオファーの際に)正義をかざして誘うんですけど」と続けると、「ありますね。だいたい嘘つくんですよ」とコメント。「オファーにOKした後に、ちょっと内容が変わったりするんです。(製作者は)『後で編集すればいいんですよ』って平気で言うんですけど、編集後見ると変わっていなかったり。で、泣くみたいな。ありますよね」としみじみ語った。 
 鈴木はそんな益若に「ですよね。『益若さんの人生を通じて、世の中の人に希望を』なんて言いながらも、視聴率を取れればいいと思っているのがテレビ」と話し、「この映画を観て改めてニュースの見方も変わりました。その残酷さ、そこで振り回されていることとか」と報道に対する注意を促していた。
マスコミが集まる壇上でこの話に切り込んだ鈴木おさむ氏と益若つばささんには驚きました。お二人とも腹に据えかねていたんだろうなという感じが言葉の節々から感じ取れます。というかこんなマスコミdisのトークショーを展開した後にも関わらず平気な顔でFukaseさんとの交際について矢継ぎ早に質問する報道陣にはハイエナ以外の言葉が思いつきません。このイベント事態が映画『ルーム』で描かれた醜悪なマスコミを再現しているようでとても皮肉だな、と感じました。



同じ『ルーム』のイベントでもDVD発売記念イベントはこのような感じでした。



山口もえ、子育てについて語る「私も母親になって強くなった」

この日行われたのは、9月16日(金)に映画のBlu-rayとDVDが発売/レンタルされるのを記念して行われた「親子限定試写会」。あいにくの空模様にも関わらず、会場は大入り満員。上映後の会場は涙を拭ったりする方であふれ、鼻をすする音が静かに響きわたっていた。そして、MCに呼び込まれ登場したのは、自身も2児の母である山口さん。まず「今日はご来場いただきありがとうございます。私はこの映画を主人と観たんですけど、観た後無言でした。私は、観終えた後、色々考えせられる映画が大好きなんです。今日、来てくれたお客さんも親子で色々話し合ってくれたら、嬉しいです」と挨拶。 
映画に関しては「この作品を観たときは息をするのを忘れてしまったぐらい、息ができなかった。私の(歳が)下の子が映画のジェイコブ君と同じで5歳になるんですけど、『私の子だったら絶対ムリだな』と思いました」と“母”の感想を語り、本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞したブリー・ラーソンについては「私も母親になって強くなったんです。色んな事に動じなくなった。図太くなってきたんです。子どもを守ろうとする母親の強さというものを知らないうちに得ていたんです。この作品のお母さんも、子どもが出来たからこそ、7年間頑張れたと思うんですよ。『子どものために生きる』『子どものために頑張る』。それだけの思いがあったからこそ、頑張れたんだと思います」とコメントした。
『ルーム』の親子限定上映なんて恐ろしいイベントがあったのか…!という驚きもありますが、普段ふんわりした印象の山口もえさんがこの映画について真摯に語っている様子は胸を打ちます。洋画のDVD発売記念イベントといえば公開記念イベントよりもさらに商売っ気の強いおもしろ宣伝になりがちなのですが、こういった上映後にしっとりと語るようなイベントももっと増えたらいいのにな、と思いました。



続いては第88回アカデミー賞外国語映画賞にフランス代表としてノミネートされた『裸足の季節』のジャパンプレミアより。



アカデミー賞ノミネート作の美人“姉妹”が来日~!

 本作は、トルコの小さな村を舞台に自由を奪われた美しい5人姉妹の甘美でほろ苦い反逆の物語。古い慣習と風建的な思想の元、“カゴの鳥”となり、次々と祖母が決めた相手と結婚させられていく姉妹。そんな中、末っ子ラーレが運命を掴み取るため奮闘する姿を描く。 
 この日は、学校の試験があるために来日できなかった次女セルマ役のトゥーバ・スングルオウル以外の、ギュネシ・シェンソイ(末っ子ラーレ)、イライダ・アクドアン(長女ソナイ)、エリット・イシジャン(三女エジェ)、ドア・ドゥウシル(四女ヌル)とデニズ監督が登壇。全員が初来日とあって、「東京に来られてすごくうれしいです」と大喜びで、とりわけドアは以前から日本に来たかったそうで、「心が熱い日本人とお会いできて幸せです」とはにかんだ。 
 全身CHANELの出で立ちについては、「これはわたしたちにとって甲冑のようなもの。本作はトルコで反発もありましたので、これを着ることで我が身を守り、より強くなっている感じがします(笑)」とデニズ監督。エリットも「(身に着けるのは)うれしいし、エネルギーを貰うことができます。カーニバルやパーティーに行くような感じ」とうれしそうに語った。 
 ドアは「映画の内容はトルコでよくあることだけど、誰も声を出さない。それではいけないという思いで演じたことを誇りに思います」とキッパリ。デニズ監督も「アートの歴史において女性はオブジェとして扱われることが多いけれど、そうではなく主体なのだということを示せたと思います」と並々ならぬ自信を見せた。
僕はこの記事を読むまで『裸足の季節』という映画の存在すら知りませんでした。しかし監督、キャストが来日して映画のメッセージをはっきり伝えているこの記事を読んでこれは見ねばなるまいという気持ちになりました。

この来日イベントの詳しい会見の様子やデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督の単独インタビューもとても読み応えがありますのでご興味がある方はぜひご覧ください。

『裸足の季節』デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督インタビュー &来日記者会見
【インタビュー】最注目の女性映画監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン:ガーリームービーの新たな傑作『裸足の季節』を語る

このように映画の内容でこちらの興味を引くような宣伝がもっとあるとうれしいですね。


続いてはちょっと変化球でこんな記事を。



モト冬樹ライブ&トーク『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』特別試写会

フラメンコに革命を起こし、その超絶的な速弾きと類まれなるテクニックで、ジャンルを超えて世界中の音楽ファンを魅了し続けた偉大なるギタリスト、パコ・デ・ルシア。その栄光と挫折。カルロス・サンタナ、チック・コリアをはじめとするレジェンドたちのインタビューと、圧倒的なテクニックによって生み出される、官能的で華麗なる旋律が奏でる名演奏シーンに心躍る、至福の音楽体験です。 
この度、映画の公開を記念して、そして今や良き家庭人・・・様々な顔を持つ男。ギタリスト・モト冬樹さんが、ギター片手に登場!フラメンコの巨匠・パコについて語りました。 
"パコはテクニックがすごいのは当然なんだけど、それを伝えたいじゃなくて、利用して、音楽で気持ち、生い立ちを吐き出していた。" 
"パコは批判も実力でねじ伏せた。そこに感激した。スペインは保守的、大変だったろうと思う。" 
"この映画は、音楽が好きな人も、興味ない人も楽しめる。色々な枠をぶち破るすごい人の映画です。"
モト冬樹さんの発言を一部抜粋しましたがさすがギタリストというコメントが多くてぐっときます。この映画を本当に楽しんだ感じがこちらにも伝わってきます。モト冬樹さんといえばニコラス・ケイジ映画の宣伝パートナーという印象でしたがこの記事を読んで少し好感度が上がりました。

そして同じイベントを別媒体が記事にするとこうなります。



モト冬樹、高知東生をバッサリ「あれはアカン」

 29日、都内で映画『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』のスペシャル試写会が開かれ、トークゲストとしてタレントのモト冬樹が登場。覚せい剤取締法違反と大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕された元俳優の高知東生容疑者について聞かれたモトは「あれはアカン」と痛烈に批判した。 
 トークショーの後に行われた囲み取材で高知容疑者について言及したモトは、「うちの嫁なんか一度不倫したらアウトだね。裏切るということは、本当によくないと思う。俺から言うのも変だけど、高知君は奥さんも裏切っているし、社会も裏切っている。あれはアカンよ」と厳しく批判。「我々芸能人というのは、交通違反をしただけでも記事になるわけだから、普通の人よりちゃんとした生活をしなきゃならない。一番目に付くところにいるわけだから」と持論を語り、「高島さんとは共演もしているし、かわいそうだなって思う」と高知容疑者の妻であり女優の高島礼子に同情していた。また、自身の体についてはキレイに光る頭と同様に「キレイな体」と断言していた。 

あれっ。
えーと。僕が今までモト冬樹さんに微妙な印象を持っていたのは"芸能界ご意見番"的な発言しか汲み取られていなかったからなのでしょうか。この2つの記事を見た時に僕は2014年の『アクト・オブ・キリング』試写会のデヴィ夫人報道問題を思い出しました。というわけで「この映画宣伝がひどい!2016」はこちらのシネマトゥデイさんの記事に決定しました!反省して!



「髪もバッサリ」じゃあないんだよ!



最後は2016年の映画宣伝でとても楽しかったこちら!



よしもと女芸人4人組が、『ゴーストバスターズ』主題歌を日本語カバー

この宣伝の何が素晴らしいかというとアメリカのお笑い番組「サタデーナイトライブ」出身の女性コメディアンが主演した映画を、ちゃんと日本の女性コメディアンが宣伝したということです。パッと見はいつものお笑い芸人キャスティングという感じですがそういった文脈を考えるととても理にかなった仕事なのです。その点に僕は感心してしまいました。

この日本語版『ゴーストバスターズ』主題歌はアメリカ本国でも人気を博し、最終的にLAプレミアに招待されてキャスト陣と対面できたというのも最高でしたね。







渡辺直美&友近 『ゴーストバスターズ』LAプレミアで絶賛「君たち最高にクール!」

世界中で日本版ミュージック予告が話題となった『ゴーストバスターズ』。現地時間7月9日(土)、米ロサンゼルスにて本作のワールドプレミアが行われ、日本語吹き替えを担当した友近と渡辺直美が参加。豪華キャスト陣と対面を果たした。 
この日、会場となったのは、ロサンゼルスのTCL・チャイニーズシアター。カーペットは「ゴーストバスターズ」の世界観を体現する全長100mのブラックとグリーンのスライムカーペット。世界中のファンが待ち望んだ瞬間を象徴するかのように「ゴーストバスターズ」のコスチュームに身を包む熱狂的なファンのボルテージは爆発寸前の状態となっていた。そんな中、ゴーストバスターズ・ジャパンを代表し、友近さんと渡辺さんが登場すると、先日公開されたMVが世界中で人気を博しているのを裏付けるように、ファンの前を通るだけで大きな歓声が。そして「MV毎日観ているよ!」「君たち最高にクールだ!」「Oh My God! 君たちのドレスもアメイジングだね!」などの熱烈なラブコールで歓迎されていた。 
イベントはスペシャルダンサーのダンスで幕を開け、いよいよ本作で「ゴーストバスターズ」を演じた、“世界で最も稼ぐ女優”ランキング第3位のメリッサ・マッカーシー(アビー役)をはじめ、クリステン・ウィグ(エリン役)、ケイト・マッキノ ン(ジリアン役)、レスリー・ジョーンズ(パティ役)らが登場! クリステンは自身の声優を務めた友近さんに「あなただったの!? ありがとう! 2人とも素晴らしいわ。とても綺麗よ!」と大興奮の様子で対面を果たしていた。 
続いて「ゴーストバスターズのテーマ曲」でお馴染のレイ・パーカーJr.も登場すると、2人に会った瞬間に日本語で「カワイイ~カワイイ」と連呼し大興奮! また、自身のTwitterで「ゴーストバスターズ・ジャパン」のMVを紹介するほど「ゴーストバスターズ・ジャパン」の虜になっている本作の監督ポール・フェイグも加わり、「ゴーストバスターズ」を大合唱する一幕も。さらにレイは「とっても気に入ったよ! 素晴らしかったよ! どうして僕も入れてくれなかったんだい? 次は出演させてくれよ!」とMVを絶賛。監督も「彼女たちは僕の新たなヒーローたちだよ。僕のゴーストバスターズも素晴らしいけど、彼女たちもぜひ加わって欲しいね!」と2人の続編への出演を臨んだ。 
そしていよいよ、世界初お披露目となる本作がチャイニーズシアターの迫力のスクリーンで上映されると、観客は終始歓声と拍手をもって作品を楽しんでいた。一足先に映画を見た友近さんと渡辺さんは「映像も本当に迫力ありましたし3Dで観たのでゴーストが顔の目の前まで近づいてきて体験型の映画だなと思いました!」と大興奮。ハリウッドの大通りを1ブロック封鎖しての大規模なプレミアとなった今回。プレミアに参加した2人は「気持ち良かったです! 誰も知らないと思っていて最初はすごく緊張したのですが、ゴーストバスターズファンの方々もMVを観てくれていて名前を呼んでくれたりアットホームな感じで良かったです! 想像以上のファンの盛り上がりでした」とカーペットを歩いた感想語る。 
また、自身が吹き替えを担当したクリステンとメリッサと対面を果たした2人は「綺麗でしたし同い年くらいだと思うのですが貫禄がありました。リアクションも上手なので見習いたいです!」(友近さん)。「本当に大好きなので会った時に衣装を褒められて『あなたの声を演じました』と言った時にすごい喜んでくれてすごいいい人だなと思いました!」(渡辺さん)と2人とも嬉しそうに話していた。
ポール・フェイグ監督の楽しそうな顔!!記事を読んでいるだけで笑顔になります。このようにキャストも、日本語吹き替えした芸能人も、それを観た観客もみーんな喜んで楽しいおもしろ映画宣伝が増えたらいいなあと思うんですよ。


去年の記事でも書きましたが、毎回毎回"考えさせる"ような深刻ぶった映画宣伝ばかりにしろというわけではありません。ただ、映画ファンもそうでない一般のお客さんもみんな楽しめる方法ってもっとあると思うんですよ。

特に近年はSNSの流行でおもしろ映画宣伝についてネガティブな意見がバーっと拡散される現象が増えてきています。そのせいで宣伝に出演した芸能人を嫌いになるばかりか「こんな映画もう観ない!」なんて人たちも出てきてるようでとても悲しい気持ちになります。より良い映画宣伝を配給会社さんにはお願いすると共に、良い宣伝には良いと高らかに叫び、おもしろに偏りすぎてる宣伝については単にダメとか悪いとかではなく意見を言い続けたいと、僕は思います。

2017年も既に「おもしろ映画宣伝」が山のように発生しています。その影に埋もれている良い映画宣伝もたくさんあります。それらを見比べて理想的な宣伝とは何なのか考え続けて行きたいと思います。