2016年10月6日木曜日

宣伝も内容も最高の映画『キング・オブ・エジプト』を君は見たか



こんにちは、ビニールタッキーです。


『キング・オブ・エジプト』を見てしまいました。


見てしまいました、と言ったのは元々この映画を見るつもりはなかったからです。アレックス・プロヤス監督の最新作で金ピカの神が出てきてジェラルド・バトラーがいつも通り暴れたり『シビル・ウォー』のブラックパンサー陛下ことチャドウィック・ボーズマンが増殖したりする映画…程度の認識でした。


※増殖するチャドウィック・ボーズマン

しかし映画ファンの間でささやかれる「日本語吹き替えがやばい」「今時こんな映画が見れるなんて」「これはバトルシップ映画かもしれない」という奇妙な風評、そして次々と打ち出されるおもしろ映画宣伝の釣瓶撃ちに「俺が見に行かなくてどうする」という気持ちになってしまったのです。


そもそも僕がキングオブエジプトのことを気になりだしたのは「今、映画館でやばい予告編が流れている」というツイッターの投稿を見かけたのがきっかけでした。


今見てもこの日本語吹き替え予告編の破壊力はすごいと思います。ある一定の人たちを確実に映画館に向かわせるパワーがあります。「うわーーーー」

キスマイ・玉森裕太&永野芽郁、声優初挑戦!古代エジプトの盗賊とヒロイン役

この味わい深い吹き替えはジャニーズKis-My-Ft2の玉森裕太くんと売り出し中の若手女優永野芽郁さんによる、いわゆるタレント吹き替えということで映画ファンからはため息が出ていましたが個人的にこういうのは好物なのでちょっとテンションが上りました。



中村悠一&田中真弓&中井和哉、奇跡の声優陣が大集結!『キング・オブ・エジプト』

一方の脇を固める声優陣は中村悠一、小山力也、沢城みゆき、中井和哉、菅生隆之、田中真弓(これ以外にも大原さやか、山路和弘、大塚芳忠、金尾哲夫など)と信じられないぐらい豪華なのも驚きでした。この企画、マジなのかネタなのかさっぱり検討がつきません。


ちなみに田中真弓さんの吹き替えキャラが公開まで秘密というギミックがありましたがいざ発表されてもへえ…そうなんだ…ぐらいの感じだったのが印象的でした。



おかずクラブ&LiLiCoが『キング・オブ・エジプト』で吹き替え声優に挑戦!

そしてまた新たに吹き替え声優として迎えたのは、「王様のブランチ」に出演中の3人。今年準レギュラーとなった「おかずクラブ」は、2人揃っての吹き替え声優は今回が初。そんな「おかずクラブ」が演じたのは、巨大コブラを操る双子の美女。この双子は暴君・セトの手下であり、ベックとエジプト王座を奪還するため立ち上がったホルスを付け狙う役どころ。 ゆいPは「戦闘シーンはかなり気合いをいれて挑みました。想像以上に難しかったですが、きっとハリウッドの人たちも満足の出来になったと思います(笑)」と自身を見せ、オカリナは「のどがかれるほど熱演しました。セクシーな声を楽しんでほしいです。ハリウッドデビューも近いと思います(笑)」とコメントしていた。 
また、長きに渡り「王様のブランチ」レギュラーを務め、『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』や『ファインディング・ニモ』などこれまでも吹き替え経験のあるLiLiCoさんは、闇の死者を何度も声を重ね、ほんのワンシーンではあるが、一人数十役をこなしているという。それぞれどこで出演しているかは、ぜひスクリーンで確認してみて欲しい。
豪華声優で推したいのかタレント吹き替えで推したいのかどっちなんだ!
特にこのニュースは「王様のブランチ」内で発表という方式に目を見張るものがあります。狙ってる客層がわかりやすーい。


吉村が演じるのは、死者が死後の世界に行けるかどうかを決める最後の門番役。物語の中で、セトの手下により死者の世界に送られてしまったベックの恋人ザヤを裁くシーンに登場する。 
死後の世界に行けるかは捧げ物次第で、解禁された映像では「前へ進め」「捧げものを出せ」という吉村の低音ボイスが響き渡り、裁かれる者が2つ道のどちらかに進む運命の瞬間が映し出される。はたしてザヤの運命は?

このあたりでようやくあっこの映画ギミック要素で売るつもりだな、という確信を得ます。

特に吉村作治教授は字幕監修&吹替担当という他の映画では中々見ない肩書で驚きます。一部の原作(エジプト神話)ファンからは「これは古代でもないしエジプトでもない」という批評があって俺は一体何を見たんだ…という気持ちになりますがキングオブエジプトおじさんこと吉村先生はどんな心境でこの映画を監修したのでしょうか。劇場パンフレットを見てみると「表面的なストーリーは古代エジプト神話にしっかり沿っていますし、セリフにも含蓄を感じ取れますし、十分に一流のエンターテイメントとして楽しませてもらいました」と発言していて、あらゆる意味でわかってる感じがします。


そして公開当日にはさらに衝撃的な吹き替えキャストが発表されました。


現役力士・大砂嵐が『キング・オブ・エジプト』でスフィンクスに! 「取組よりも緊張した」
もともと、本作のようなアトラクションムービーが大好きだという大砂嵐さん。さらに本作は出身国であるエジプトが舞台ということで、「こんな映画は何回もみたいですね」と言いながら、実はオファー前にすでに5回も鑑賞していたことを明かした。そこで、今回の吹き替えのオファーを受けて「スフィンクスがエジプトだから私の声を使ってくれたのは凄く嬉しかったですね!」と大興奮。初のアフレコ挑戦には「相撲の取組よりも緊張した。難しかったけど、がんばりました」とコメントしていた。
この大砂嵐さんの「オファー前に5回見た」という発言には感心します。あの映画を5回も見るなんて…ということではなく、ちゃんと映画に思い入れがある人物だということです。例えタレント吹き替えでもそういう人が演じるとこちらもちょっとうれしくなりますよね。しかし熱意があるのは最高なのですが大砂嵐さんは他のどのタレントよりも何を言ってるかよくわかりませんでした。




先程紹介した日本語吹き替え予告も最高でしたが他にもグッとくる予告がありました。特に縦型と呼ばれるスマホ用の予告編を業界初で取り入れたことは(僕の中で)話題となりました。


スマホをジャック!? 『キング・オブ・エジプト』で“業界初”縦型特報が到着

ナウい、チャラい、間違いない。このような予告動画を公開するあたりに宣伝会社の考えるターゲット層が表れていると感じました。この軽薄なノリが違和感なくフィットするのもこの映画の魅力だと思います。


【予告編】話題のアプリさながらに「エジプトへGO!!」『キング・オブ・エジプト』

時流に乗ってポケモンGOを模した「エジプトへGO」予告編を出してきたときはさすが軽薄すぎ!と思いましたが、そんなところもこの映画の魅力です。魅力、だと思います!


そしてご多分に漏れずPRイベントも頻繁に行われました。しかしジャニーズの方が参加すると肖像権システムが発動して写真が永野芽郁さんだけになるケースが多かったため、特にインパクトの強いイベントを選りすぐってご紹介します。


キスマイ玉森裕太、『キング・オブ・エジプト』俳優と対面 「イケメン」「クール」と褒め合い



こちらは主演二人を招いたジャパンプレミアの様子ですが東京国立博物館の玄関に巨大なスフィンクスのオブジェを置くという素晴らしい演出がありました。そろそろ「とにかくデカい!映画PRイベントの巨大オブジェグランプリ」という記事が書けそうなくらいこの手の巨大オブジェPRは多いのですが需要がなさそうなのでまとめるのはやめます。

その後主演二人は映画のプレミアイベントで来日した俳優が必ず受ける洗礼「日本っぽいお土産をもらう」の儀でキングオブエジプト刺繍入り法被をもらっていました。

法被を着てもカッコいいぞコートニー・イートン!!



おかずクラブが映画公開アフレコ、オカリナ「まだ伸びしろある」



おかずクラブはこの日、クレオパトラふうの双子コーデに身を包み、ヒロイン・ザヤ役の声優を務める永野芽郁と共に体感型上映システムの「4D上映」を体験。アクションシーンにあわせて水の噴射を受けたゆいPは「手がビチャビチャになってしまった」と振り返ったほか、戦闘シーンで放たれるにおいの効果について「ゴボウみたいだった」と話して会場の笑いを誘った。 
また会場で公開アフレコが実施された際には、オカリナが叫ぶシーンに永野芽郁が感心し、これにオカリナが「まだ伸びしろはあるから」と先輩風を吹かせる場面も。イベントの最後にはオカリナが「いろいろな神様が出てくる話。楽しんでほしい」、ゆいPが「登場人物がみんな、イケメンやカッコいいを通り越してセクシー!」と作品をPRした。
最高の写真。
最近はハリセンボンに代わっておかずクラブがおもしろ映画宣伝枠によく出るようになりましたね。更なるご活躍を期待しております。


そして『キング・オブ・エジプト』といえば他業種とのコラボも目を見張るものがありました。

エジプト神話の神々をテーマにしたギャグ漫画『イマドキ☆エジプト神』と奇跡のコラボ!この映画の感想で「ギャグマンガ日和っぽい」というのがありましたがまさにそれを具現化したようなポスターイラストが最高です。作者の美影サカス先生は登場する神々の中でも獣人姿で出てきたアヌビス神推しということで趣味が一貫してる!と感心しました。


なんだこれは!このゲームは未プレイなので詳細はよくわからないのですが、ただでさえカオスっぽいゲームがこのクソコラみたいな画像のせいでさらに混乱を招いて頭痛がしてきます。とにかく絵面がすごすぎる。あとここでもフィーチャーされるアヌビス神。最高です。


と、ここまで読んだ方はわかると思いますが僕はこの『キング・オブ・エジプト』という映画が大好きです。確かに変な映画です。特に主役の吹き替えがかなり味わい深い出来だったり、話の整合性が微妙だったり、神様ができることとできないことの区別がよくわからなかったり、あの超合神は意味があったのか?と疑問を抱いたり、CGもかなりワイルドでたまにグリーンバック全開な会話シーンがあったりもしました。でも、それを遥かに凌ぐ魅力があるんです。鑑賞直後の僕のツイートはこちらです。
これ変だなあ…と思う部分を消し飛ばすようなさらに変な展開や絵が続くのです!
この「変なものには変なものをぶつけんだよ!」というメソッドにはしびれました。

その黄金に輝く蠱惑的な魅力から、未見の人に対して「キングオブエジプト観よう」「本当は観たいんだろ?」「君の名は。を見てないということはキングオブエジプトを見たいということだ」などと執拗に迫る「キングオブエジプター」と呼ばれる狂信者が生まれるという現象まで起きています。


そして、かく言う僕もキングオブエジプターなのです。
ここまで読んだということはあなたも見たいんですよね?


もしあなたがムキムキ筋肉同士の嫉妬&愛情描写が好きで、生意気な下っ端と落ちぶれた兄貴のドツキ漫才が好きで、チャドウィック・ボーズマンが好きで、天動説が好きで、がんばる巨大なおじいちゃんやモンゴリアンデスワームが好きで、イケボで仕事熱心な獣人が好きで、金ピカのメタル超合神バトルが大好きなら、観よう!『キング・オブ・エジプト』!



早く見ないと終わっちゃうぞ!!